2011年12月15日木曜日

つくる豊かさと買う豊かさ~結城登美雄さんに学ぶ~

このブログを書きながら、自分自身学ばせていただくことが多く、やはり文章にする大事さを感じています。最近辻先生とのお話の中で、結城登美雄さんの話がよく出てきます。今度、D・鈴木先生と会っていただくそうです。東北を中心とした民俗学者の先生です。『GNH もう一つの豊かさへ、10人の提案』(大月書店 刊 辻信一 編)に登場されています。

聞思堂ワークショップを経験して、感じた豊かさを、「つくる豊かさ」と「買う豊かさ」という言葉で、農村と都市の生活文化を表現されています。

「僕らの中には都市に住む人が多いために、「買う豊かさ」のみ追いかけ、お金がないと生きていけないと思っている人がたくさんいる。そして「つくる豊かさ」のほうを忘れかけている。」
前掲書 190頁

「村のおじいちゃんおばあちゃんの経済はいわば三つの構造でできている。自分でつくれるものはつくる、つくれないものは隣人と交換する、それでも足りないものはお金で手に入れる。ここにはじめて買うという暮らしがあり、そこまではつくる。「つくる」という中心がしっかりあったから、暮らしが揺るがなかった。ところが今どうなったか。今は自分でつくるという部分がとても小さくなってきている。隣人と交換する関係もずいぶんなくなった。そして圧倒的に市場経済が大きくなり、その中に生きている僕らは「全部買う」という生き方しかしらない」
前掲書 190頁

聞思堂のワークショップは、「つくる」ことでつながる豊かさを教えてくれました。ストローベイルの壁づくりを通して、壁づくりだけではなく、食事作りや人間関係づくり、豊かさの中心に「つくる」ことがしっかりあったのだと思います。



結城先生のご指摘は大きなヒントでした。12月16日のキャンドルナイトも同じです。みなさんと一緒につくることを中心にしっかり据えた場所でありたいと思います。

つい、お客さんになってしまいます。みんなで、つくっているということを見失ってしまうのです。スタッフも同じです。そうではなく、お寺のキャンドルナイトで感じたことをきっかけに、各家庭でキャンドルナイトを行ってほしいのです。

だからこそ、難しいルールはありません。 「電気を消して、スローな夜を」

聞思堂は、建設から「つくる豊かさ」を大事にする場所であり、「つくる」という中心をしっかり持つ場でありたいと思います。


カウンター横にサブシンクを置いています。
昨日の画像です。聞思堂には、サブシンクを設置しています。実は、韓国に辻先生と一緒に行ったときのお寺さんや、オーガニックレストランに設置されていました。「自分の食器は自分で洗う」というものでした。僕はこのサブシンクで、このお寺という空間はみんなでつくりあげていく場所であるという一つの象徴的な意味を表現したいと思っています。

「買う豊かさ」が中心になっている都会では、参画してみんなで作り上げていくという感覚が極端になくなってきていると思います。「お金を払ってサービスを買う」という感覚です。たしかに、この感覚もゆたかさを求めていく一つの方向性なのかもしれません。

そればかりではない、もう一つの豊かさの方向性を、みなさんとご一緒につくりあげていきたいと思います。

合掌