2011年12月31日土曜日

今年一年ありがとうございました。

今年も残すところ本日の大みそかとなりました。
善了寺では、悲しい歴史の1ページとして、梵鐘を太平洋戦争で供出しています。私の祖父は、供出を他のお寺にお願いにいく立場だったようです。他のお寺さんから聞いたことがあります。今も、梵鐘はありません。除夜の鐘になるといつも、梵鐘を供出したことを思いおこします。こうやって、どこかで、忘れてはいけないものとつながっているという感覚がたいせつだと思っています。そして、その年その年で、学びを深めていくことが大事だと思っています。

今年は、いろんなことがありました。来年はどんな年になるのでしょうか。

「すべてのお寺は平和のためにある」サティシュクマール師からいただいた言葉が本当に重要になると思っています。

聞思堂もみなさんのお力をいただいて、着々と建設が進んでいます。来年早々から、土壁の仕上げや、いよいよ穴太積みが始まります。足場が取れるのは、1月中旬くらいかと思っています。

改めて詳しくアップしますが、穴太積みのワークショップは、2月4日(土)を予定しています。概ね午前中から作業をして、夕方から講演会を予定しています。是非ご予定だけでも入れておいてください。

最近の聞思堂の画像をアップします。


聞思堂の奥の間です。すっきり落ち着く空間になると思います。

キッチンが明るく仕上がっています。お楽しみに。

茶室もずいぶん壁が乾いてきましたよ。まだ下塗りですからね

もっと素敵な写真をあげたいと思うのですが、本当に棟梁の技に感動しています。

聞思堂も、東日本大震災の記憶をつなげていく建物です。来年こそ、震災の記憶を風化させない大切な年になると思います。学びを深め、人生の一歩を深く考えることのできるお堂でありたいとこころから願っています。

来年もよろしくお願い申し上げます。新年は、5日から親方は初仕事です。

2011年12月29日木曜日

年末アップができなくてごめなさい

今年は本当にみなさんにお世話になりました。ありがとうございました。

実はこの年末、亡くなる方が多いです。12月31日まで、お葬式です。今年最後の締めくくりに、大勢の方々の死と向き合う機会をいただいています。みなさん、どうか死を他人ごとにしない一年の締めくくりをしたいものです。3・11以降の日本はまさに、死と向き合う社会であったはずです。災害は数字ではないのです。人の命は単なる単位ではありません。

経済は、人を単位化することではないを思うのです。「経世済民」今だからこそこの言葉を大切にしたいと思うのです。世を治め人々を救う。カフェ・デラ・テラの活動はいつもこの視点を大事にしています。

それは、死から考える経済学と言えるのではないでしょうか。本当に、死を見据えて経済を考えているでしょうか。死が個人的なものであると思えば思うほど、死が単位化されていくのではないでしょうか。火葬場の空き状況が、死の単位になっていないでしょうか。

この年末どうかご一緒に、生命の尊厳を、死から考えていく年末を迎えていきたいと思います。

さて、久しぶりに聞思堂の情報です。実は工事が遅れています・・・。でも、親方は年末ぎりぎりまで仕事をしてくださいます。本当に頭が下がります。





建具が入りました~。木枠のドアなんですよ~。聞思堂の木は、低温乾燥によって、木の細胞が活動しているそうです。ありがたい言葉ですよね。裏を返せば木が暴れるということなんです・・・僕は大切なことだと思っています。自然とともにあること、それは、死を考えることであるとおもうのです。生きるとは何か、生命とは何かその根源を問い続けていけるのが、

「生きているから、死を迎えていく」という現前の事実です。

「聞思」とは、現前の事実から出発していこうという願いが込められています。どうぞご一緒に考えていきまししょう。

住職 合掌



2011年12月23日金曜日

2011冬至キャンドルナイト~家族のキャンドルナイトの後に~

みなさん、ハッピーキャンドルナイト~。
もう冬至当日は終わってしまったのですが、しばらくブログ更新できなかったのは、建築が少し遅れたことと、キャンドルナイトのトークをテキストにおこして、皆さんと共有したいという壮大な野望のために、思った以上に時間がかかっていることと・・・。

今夜は冬至キャンドルナイト本番なので、家族で、キャンドルナイトを過ごして、子供たちが寝た後に、テキストに起こすことをナマケて全編を楽しんでいます。

今ちょうどライブ中です。みなさんも是非キャンドルナイト@善了寺ustremで楽しんでみてください。

http://www.ustream.tv/recorded/19178176

生命平和の議論が大変重要だと思います。お寺のキャンドルナイトにふさわしい内容だと本当に思います。ゲストのみなさんそして辻先生、ありがとうございました。

生と死をテーマにしなければ生命平和は語れません。まさにその切り口をきちっと語ってくれました。改めて、私たち僧侶がどのように浄土を語り仏教を語っていくのか。深く学ぶせていただく内容でした。

そして、ライブが素敵です。本当に素敵です。来年は聞思堂で、盛り上がりますよ~。参加してくださったみなさんありがとうございました。そして、ちょっとブログ更新しないでごめんなさいね。

また、年末にむけてお付き合いください。



スタッフのみなさんありがとう。寒かったもんな~。是非ustrem見てね。



古布をリサイクルして作ってくれました。素敵です。みなさんの心に残ったキャンドルナイトだったと思います。

商店会のみなさん。戸塚宿東集会のみなさん、本当に寒い中、キャンドルロードありがとうございました。寒い中で灯された明かりは必ず未来につながっています。

本当にありがとうございました。

合掌

2011年12月15日木曜日

つくる豊かさと買う豊かさ~結城登美雄さんに学ぶ~

このブログを書きながら、自分自身学ばせていただくことが多く、やはり文章にする大事さを感じています。最近辻先生とのお話の中で、結城登美雄さんの話がよく出てきます。今度、D・鈴木先生と会っていただくそうです。東北を中心とした民俗学者の先生です。『GNH もう一つの豊かさへ、10人の提案』(大月書店 刊 辻信一 編)に登場されています。

聞思堂ワークショップを経験して、感じた豊かさを、「つくる豊かさ」と「買う豊かさ」という言葉で、農村と都市の生活文化を表現されています。

「僕らの中には都市に住む人が多いために、「買う豊かさ」のみ追いかけ、お金がないと生きていけないと思っている人がたくさんいる。そして「つくる豊かさ」のほうを忘れかけている。」
前掲書 190頁

「村のおじいちゃんおばあちゃんの経済はいわば三つの構造でできている。自分でつくれるものはつくる、つくれないものは隣人と交換する、それでも足りないものはお金で手に入れる。ここにはじめて買うという暮らしがあり、そこまではつくる。「つくる」という中心がしっかりあったから、暮らしが揺るがなかった。ところが今どうなったか。今は自分でつくるという部分がとても小さくなってきている。隣人と交換する関係もずいぶんなくなった。そして圧倒的に市場経済が大きくなり、その中に生きている僕らは「全部買う」という生き方しかしらない」
前掲書 190頁

聞思堂のワークショップは、「つくる」ことでつながる豊かさを教えてくれました。ストローベイルの壁づくりを通して、壁づくりだけではなく、食事作りや人間関係づくり、豊かさの中心に「つくる」ことがしっかりあったのだと思います。



結城先生のご指摘は大きなヒントでした。12月16日のキャンドルナイトも同じです。みなさんと一緒につくることを中心にしっかり据えた場所でありたいと思います。

つい、お客さんになってしまいます。みんなで、つくっているということを見失ってしまうのです。スタッフも同じです。そうではなく、お寺のキャンドルナイトで感じたことをきっかけに、各家庭でキャンドルナイトを行ってほしいのです。

だからこそ、難しいルールはありません。 「電気を消して、スローな夜を」

聞思堂は、建設から「つくる豊かさ」を大事にする場所であり、「つくる」という中心をしっかり持つ場でありたいと思います。


カウンター横にサブシンクを置いています。
昨日の画像です。聞思堂には、サブシンクを設置しています。実は、韓国に辻先生と一緒に行ったときのお寺さんや、オーガニックレストランに設置されていました。「自分の食器は自分で洗う」というものでした。僕はこのサブシンクで、このお寺という空間はみんなでつくりあげていく場所であるという一つの象徴的な意味を表現したいと思っています。

「買う豊かさ」が中心になっている都会では、参画してみんなで作り上げていくという感覚が極端になくなってきていると思います。「お金を払ってサービスを買う」という感覚です。たしかに、この感覚もゆたかさを求めていく一つの方向性なのかもしれません。

そればかりではない、もう一つの豊かさの方向性を、みなさんとご一緒につくりあげていきたいと思います。

合掌

2011年12月13日火曜日

ウールブレスの壁

おはようございます。いや~昨晩はあっという間寝てしまい。気が付いたら朝・・・やっぱりだんだん夜更かしはできない体になってきております。気をつけねば。

キャンドルナイトの準備会があり、寒い中、学生さんがガラス瓶を数えてくれてました。このところ恒例の光景になりましたが、なんだか懐かしような、さびしいような・・・。新しい学生さんたちがきてくれることは喜びであると同時に、スタッフが卒業などで入れ替わるので・・・。ちょっとさびしかったりもします。

スタッフを卒業された方々もぜひ、当日遊びに来てください。冬至も素敵なキャンドルナイトになりそうですよ。


瓶を数える面々昨日は寒かった~ありがとう
さて、聞思堂です。昨日、ウールブレスが大床側に入りました。真っ白な壁になっています。いかがですか。工事の工程の一つひとつがこんなにもきれいだな~としみじみ思うのは初めてです。ワークショップのおかげであり、親方たちの気持ちがあったかいからだと思います。


雪が積もっているみたい。天然ウールのぬくもり感なんでしょうね

キャンドルナイトの時には、聞思堂にもすこし明かりを灯したいと思っています。お楽しみに

2011年12月12日月曜日

厨子の写真2

今夜は地域の仏教会の忘年会でした。僕は住職として恵まれていると実感できる集いが、この戸塚・町仏教会です。話せば長いのですが、長い歴史をたたえ、いくつもの危機を乗り越えながら今日まで伝えてくださっていることに心から感謝申し上げます。


ここに二百代の御本尊(六字名号)をお迎えしようと思っています。
 町仏教会に支えられて、私のような住職も生きていけいるのだと思います  合掌

2011年12月10日土曜日

皆既月食の夜に~椅子目線の聞思堂~

皆既月食見ましたか。ほんのりと赤い月が魅力的でしたね。初めてしみじみ見たような気がします。自然って本当にすごいですよね。

キャンドルナイトが夏至・冬至にあるのは、人間の都合ではなく、自然の都合にあわせようという趣旨だと聞いたことがあります。皆既月食はあとしばらくは見られないようです。天文ファンではなくても、空を見上げて、自分と自然を結び付けていく素敵な機会ではないでしょうか。

本日も、寒い中親方が一所懸命に聞思堂を建ててくださっています。ありがたいことです。
実は、土曜日ということもあり、明日は仕事がお休みなので・・・・
椅子を持ち込んでしまいました~スミマセン。やっぱり完成後どんな使い勝手になるのか
今から構想することが大事・・・。と言い訳しつつ、今悩んでいるのは椅子と机です。

どんな空間にするのか、大岩先生とご一緒に悩んでいます。さて、その椅子目線の画像です。


キッチン付近がだんだん出来上がってきています。棚ができ始めたんですよ。


素敵な空間になると思います。僕の腕が悪いのだと思うのですが、
空間が丸いことを表現するように写真を撮るのは難しいですね。


いよいよご本尊と厨子を納める、大床の周りが出来上がってきました。来週にはウールブレスがはいると思います。下地から美しいというのは、本当に大事なことだと思います。

さて、本日はスペシャルな画像を一枚

聞思堂のご本尊をご安置する、厨子です。はせがわ美術工芸さんにお願いして、栗駒山のケヤキで作っていただきました。本日画像が届いたので、一枚。六角堂をイメージした厨子になっています。中は、ご本山から六字名号をお迎えしようと思っています。

ありがたいです。思いは、改めてゆっくり書きたいと思います。 
寒いですからどうぞお体をお大事に

日曜日は仏教会の忘年会です。アップは月曜日になると思います。あしからず・・・。合掌

あらゆる生命へのまなざし~江戸の本草学~

おはようございます。忘年会シーズンですが、みなさん、体調はいかがですか。

昨夜は、田中優子先生の『カムイ伝講義』から本草学の一節を読ませていただきました。
12月16日(金)もう来週の金曜日になりました。今年のキャンドルナイトのゲストです。素敵な方です。またお会いできるのが本当に楽しみです。

キャンドルナイトは自由に参加していただき、お一人おひとりが考え、感じていただくプラットホームのようなイベントです。そこが、キャンドルナイトの魅力でもあるわけです。田中先生とファン・デグォンさんそして、辻先生どんなトークセッションになるのでしょう。わくわくしますね。

ファン・デグォンさんの思いと田中優子先生の思いをつなぐ一つの架け橋が、今回のテーマでもある「3・11後のライフ&ピース」生命平和という、視点ではないかと思っています。特に、私が注目したいのは、江戸時代に発達する「本草学」との接点です。

本草学とは
「「本草」とは、薬材となるものに草が多いことから、草を本とするという意味で、古代中国で命名された。とは言っても、何もそれは「草」に限った話ではない。本草学に携わりその記録を残した人々は、薬になりそうな、ありとあらゆる自然界の動植物にその研究のまなざしを注いできた。」

「この宇宙に存在する万物には、すべて何らかの働きが備わっている。-それが本草学の中核をなす世界観でもあった。」(『カムイ伝講義』小学館 刊 292頁~294頁)

ファン・デグォンさんは、独房の中で、自分自身の身体という大自然に気づかれ、もともと学ばれていた農学のご縁から、野草の生命の多様性に気付かれていきます。そこには、人間中心ではない生命の尊厳を学ぶまなざしが育まれていきます。そして、自分自身の身体を粗末にしない、健康を考えていくとき、自然の流れの中に、自分自身をおいていくことの大切さに気付かれていきます。

江戸時代の本草学は、中国の漢方を積極的に取り入れ、そこから、名物学・物産学そして博物学へと様々な学びを展開させていったそうです。単なる「人間に都合がよい」という人間中心の思考では、有用なもの以外は「雑草」という感覚しか育てられてきませんが、生命に対する根源的なまなざしとして、自分自身の体と自然をつないでいく感覚が、生命の平和、多様な命との共存の文化を作り上げてきたのではないでしょうか。

「江戸時代の人々の病を治し、健康状態を保つために、このようなさまざまな方法が存在し、継承されてきた。それらを見渡してわかることは、まず人と自然を結びつけ治すことによって、心身のバランスを取り戻す方法が蓄積されていたことである。」(前掲書 293頁)

つながりを取り戻す・・・・。というキーワードは、私たちの生活において重要な意味を持っていると思います。ファン・デグォンさんと田中優子先生のコラボレーションで、懐かしい未来としての素晴らしい学びが繰り広げられていくと思います。そのお二人を紡ぐ辻先生のご縁に感謝しています。

2011キャンドルナイト 詳細 http://zenryouji.blogspot.com/2011/12/blog-post_05.html

さて、昨日の聞思堂です。実は、靴箱の中に・・・。


まだ棚はついてませんよ。



隠れスペースを作りました。ブーツなどの収納ができるかな~と思っています。でも、ブログにあげたら全然隠れスペースじゃないですよね。

聞思堂も徐々にその具体的な姿を現してくれています。完成が楽しみです。みなさん、是非遊びに来てください。

合掌


2011年12月9日金曜日

お寺の大忘年会でした。

本日は、成道会です。お釈迦様のお悟りを開かれた日。

善了寺では、毎月8日定例の法話会を行っています。そして、この日にあわせて、毎年、お寺の役員会・女性会・壮年会・デイサービスほか寺院関係者に来ていただいて大忘年慰労会を行っています。今年も60名近くの方々にお集まりいただきました。お寺を支えてくださる中核のみなさんです。

本当にありがたい。席です。どんちゃん騒ぎですが・・・。今年一年のご苦労を思うと本当に素敵なご門徒にご縁をいただきありがたいことです。

感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございます。

さて、本日の聞思堂です。


すてきな仕上がりになっています。
内陣奥の棚ができました。ほんとに素敵ですね


是非、遊びに来てください

2011年12月8日木曜日

藁のベンチが登場しています。

おはようございます。例によって朝アップです。今夜から忘年会シーズン突入です。みなさんもくれぐれもお体を大切に。さて、聞思堂にベイルベンチが登場しました。
カイルさん作ベイルベンチが登場しました。この横にペレットストーブですから
冬場はちょっと離れがたい空間になるのでは


多目的展示スペースです。いろいろなイベントの時の物販スペースとして
また、普段は、ブータン展のような多目的展示スペースとして考えいます。
  やっぱり、ストローベイルはやさしいですね。このなんとも言えない丸み、空間にあたたかさを伝えてくれるように感じます。カイルさんも年末は帰省されるようです。ラストスパート、気合が入っています。ありがとうございます。

ご本尊をご安置する厨子を置かせていただく、大床です。ウール断熱がはいってあったそう
 この大床の間が、ご本尊をご安置するスペースです。ご安置されると、かなり落ち着く迫力ある空間になると思います。お楽しみに。

毎日の地道な積み重ねが、見えてくる建築の素晴らしさを思います。昨夜は商店会で、ストローベイルの壁を見ながらみんなで、ワークショップの思い出や、自慢話を楽しくしました。そうやって会話が自然と生まれるのは本当にありがたいです。


今日の締めはちょっと息抜き・・・。チロちゃんです。猫はこたつで丸くなる時期ですね~
合掌

2011年12月7日水曜日

生命の息吹を感じることの大切さ~『野草手紙』を読みながら~

12月16日キャンドルナイトのゲスト ファン・デグォン氏の『野草手紙』を読んでいます。
「日本語版によせて」という文章に素敵な言葉があるので、少し長いですが引用します。

「本書が韓国でベストセラーとなるや、多くの人々が異口同音に口にした言葉がある。

「生命の息吹など感じられない刑務所のなかで、どうしてこのような本が誕生したのだろう?」

逆説的だが、生命という概念からかけ離れた刑務所であったからこそ、この本は生まれたのだ。わたしたちは、常に充分な空気に包まれて呼吸しながら生きているが、空気のありがたさなど気にも留めない。同じように、生命の光に満ちた外の社会で暮らしていると、かえって命のありがたさに鈍感になってしまう。せいぜい、ある動物の肉やエキスは滋養強壮になるだとか、この草花は生け花にいいだとか、自分たち人間にとって役に立つかどうかで判断しているにすぎない。これでは、命ある動植物が、生命体どころか人間の快楽のための道具として扱われているも同然だ。わたしは、運よくも、いかにも役に立ちそうな生命体など存在しない、コンクリートに閉ざされた独房のなかで、長い歳月を過ごしてきた。おかげで、そこで出会った無数の「しがない命」を通じて、逆に、生命の尊さに触れることができた。」『野草手紙』NHK出版10頁~11頁

この本は、刑務所から妹へと宛てた書簡集です。その一言ひとことに、寄り添いながら読ませていただくことで、生命の息吹を感じさせてくれます。ファンさんがどうして収監されたのか基本的な情報はナマケモノ倶楽部のサイトに詳しいです。

http://www.sloth.gr.jp/events/hwang/

聞思堂ワークショップでも、生命の息吹を感じました。土壁に、ストローベイルに、仕事をされている皆さんの姿に・・・。

単なる健康にいいからという役に立つかどうかという人間の視点だけでは、感じることができないのだと思います。「自然素材とつきあう・・・」大切さを思います。土の壁は雨に弱いのです。そのことで、批判的な意見もたくさんあります。そこに、問われているのは、生命観であり、生き方なのです。ファンさんは、刑務所という環境のなかで、生き方そのものを変革していかれました。

コンクリートに閉ざされた状況は、まさに私たちの一つの価値観に閉ざされたライフスタイルになぞらえることができるのではないでしょうか。経済発展を至上とする社会の価値観・・・。そんな牢獄だからこそ、ファンさんの生き方の変革に学ぶことが多くあるのだと思います。


茶室の入口に土壁が塗られました。
やはり土に囲まれた部屋の素晴らしさを感じます。生命の息吹を感じる部屋の在りかただと思います。ここは、一輪の花や、お茶の香りや、人とひとの一期一会の出会いを大切にする部屋です。
そう思うと、やはり深い生命平和の文化が茶室には生きているのだと思います。

みなさんもぜひ、ファン・デグォンさんに会いに来てください。

2011冬至キャンドルナイトに是非
http://zenryouji.blogspot.com/2011/12/blog-post_05.html

2011年12月6日火曜日

聞思堂のトップライト

短くアップします。昨日聞思堂トップライトの開閉テストがありました。大袈裟ですが・・・


結構開くでしょう。電動ではありません。でも嫁さんは、「鳥が入ったらどうすんの・・・。」
と心配そう。ん~素敵な鳥の巣ができそうな気もしないでもありませんが・・・


天井のウール断熱が収まりました。現場は寒いのに、ウールはあったかそう・・・。親方ありがとうございます。

合掌

2011年12月5日月曜日

電気を消してスローな夜を~冬至キャンドルナイトのご案内~

こんばんは。12月ですね。冬至キャンドルナイトの季節です。毎年、明治学院大学の学生さんたちが中心に準備をしてくれています。ありがたいことです。私自身毎年学ばせていただくことが多いイベントです。

今年は、聞思堂の建設もあり、例年よりも規模は小さくなりますが、お呼びするゲストは、おかげさまで、素敵なゲストにおいでいただきます。

今年の広報文を引用します。


2011夏至キャンドルナイトの模様

*./*.*✩2011年冬至キャンドルナイト✩@戸塚・善了寺*./*.*

テーマ:「ポスト3.11のライフ&ピース」

■日時:2011年12月16日(金)18:00~20:30
(イベント当日無料動画サイトUstreamにてライブ配信します!)
イベントに参加できない方、遠方の方でも無料動画サイトUstreamにアクセスしていただくことで会場のリアルな様子を生中継でご覧頂くことが出来ます!会場だけでなく、世界中からCandle Nightを盛り上げましょう✩.*

【閲覧方法】UstreamHPトップページの検索エンジンでCafe dela Terraと検索してください。

Ustream 田中優子×辻信一「ポスト3.11のための江戸学」2011夏至のキャンドルナイト様子:http://www.ustream.tv/recorded/15600074

■場所:善了寺(戸塚駅から徒歩7分)

駅からの行き方:東口の大きなビル「modi」1階スターバックスを左折、ビル沿いに直進。つきあたりの交差点を右折して、東海道沿いを進み、左手に郵便局が見えたら、その先の細い坂道をあがると本堂があります

地図:http://www.zenryouji.jp/syoukai.html

■趣旨:今年3月11日、東日本大震災が発生しました。私たちは多くの悲しみの中から、3.11後の新しい時代―『ポスト3.11』をどのように生きていくべきなのか?皆さんのこころに温かい灯りを一つ、ひとつ灯します。

■参加費:カンパ(今日のイベントがあるのは皆さんの”おかげさま”です)

「今回だけではなく、未来へこのムーヴメントが繋がっていきますように」という「恩送り」の気持ちを込め、おころろざしをお願いします。

■内容
【一部】平和法要
【二部】田中優子さん×ファン・デグォンさん×辻信一さんトークライブ
「3.11後の”生きる”を考える」
【三部】ミュージックライブinキャンドルナイト
スローソウルシンガー松谷冬太さん×ジャズピアニスト遠藤律子さん

タイムスケジュール
17:30 開場
18:00~18:15 平和法要(15分)
18:15~20:00 田中優子さん×ファン・デグォンさん×辻信一さんトークライブ
「3.11後の“生きる”を考える」

(途中休憩15分) (カフェ 物販)

20:00~20:30 ミュージックライブinキャンドルナイト
ソウルシンガー松谷冬太さん×ジャズピアニスト遠藤律子さん
21:00 キャンドルアート・ロード 終了
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<詳細>
【一部】 平和法要
―なぜお寺でキャンドルナイトなのでしょうか?
善了寺は親しみやすくウェルカムな場所であると同時に、深く神聖で優しい場所です。住職さんが法要をつとめてくれると、仏様の前で謙虚な気持ちになり、心が安らぎます。「すべてのお寺は平和のためにある」という言葉の象徴が平和法要です。

【第二部】田中優子さん×ファン・デグォンさん×辻信一さんトークライブ
「3.11後の“生きる”を考える」

■トークゲスト 田中優子さん



近世文学(江戸時代の文学)を専攻するが、その後、研究範囲は江戸時代の美術、生活文化、海外貿易、経済、音曲、「連」の働きなどに拡がってゆく。さらに、中国文学を中心に東アジアと江戸の交流・比較研究、布や生活文化を中心にインド・東南アジアと江戸の交流・比較研究などにおよんでいる。江戸時代の価値観から見た現代社会の問題に言及することも多い。

著書:『江戸の想像力』『未来のための江戸学』『布の力』など
HP:http://lian.webup08.jp/yuu/

■トークゲスト ファン・デグォンさん

1955年ソウル生まれ。著述家、生態共同体活動家。ソウル大学農学部卒業。1985年、韓国でスパイの濡れ衣を着せられ逮捕、無期懲役の宣告を受ける。13年2か月の牢獄生活の後、特赦される。釈放後、農業を始める。1999年、アムネスティ・インターナショナルの招きによりヨーロッパに滞在。ロンドン大学インペリアルカレッジで農業生態学を学ぶ。現在、生態共同体研究会主宰、緑色大学生命農学部教授。

詳細データ http://www.sloth.gr.jp/events/hwang/

著書:『百尺竿頭に立ち』『花より美しい人々』(いずれも未邦訳)など。

■聞き手 辻信一さん

文化人類学者、明治学院大学教授。 「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表。数々のNGOやNPOに参加しながら、「スロ-」や「GNH」というコンセプトを軸に環境=文化運動を進める一方、社会的起業であるスロービジネスにも積極的にとりくむ。

著書:『しんしんと、ディープ・エコロジー~アンニャと森の物語」』(大月書店) 、『しないことーースローライフのために』(ポプラ社)など
HP:http://www.sloth.gr.jp/tsuji/

【第三部】ミュージックライブinキャンドルナイト
スローソウルシンガー・松谷冬太さん
                  ×ジャズピアニスト・遠藤律子さん

■スローソウルシンガー・松谷冬太さん



ソウルシンガー。国内外での多くの音楽活動を通して、「こころの革命」を感じながら、人や自然とのつながりを音にして、この混沌の時代に自分には何ができるのか、自分の音楽と仲間たちとの活動をつなげて、暮らしやすい社会へダイナミックな変革を模索しつつ、精力的に活動のフィールドを広げている。1stアルバム『森のうた』(Try Record)など。

■ジャズピアニスト・遠藤律子さん

STB139スイートベイジル、サテンドール、スイング等ライブハウス、高齢者施設、美術館など様々な場所で、会場一体となって熱く楽しく盛り上がるライブを開催中。美しい作曲と喜怒哀楽豊かな演奏で、あたたかい音楽の一時を作るピアニスト。また、ジャズポピュラーピアノ、理論クラスを持ち、大人の社会人ミュージシャンの気楽セッション を主宰、楽しい音楽生活を演出して、音楽で人と人を繋ぐプロデューサー。

遠藤律子スローピアノ小曲集CD「心配しないで 」(早稲田大学ラボシリーズ)など。

主催: NPO法人カフェ・デラ・テラ(HP:http://www.cafedelaterra.org/)

Cafe dela Terra(カフェデラテラ)は、横浜市戸塚区にある善了寺、とつか宿駅前商店会、明治学院大学の教授と学生たちによって始められたお寺ムーヴメントです。

Cafe dela Terraの「Terra」とは、お寺の「寺」ともうひとつ、イタリア語で「大地」を意味します。お寺を通して人とつながり、コーヒーを通して大地とつながればいいなあという想いが込められています。善了寺では毎月すてきなゲストを呼び、ゲストさんによる深いトークを聞き、今よりももっと私たちの心が豊かになるような、そしてわくわくするようなイベントを行っていきます。

共催: 善了寺(HP:http://www.zenryouji.jp/)  戸塚宿東集会 
とつか宿駅前商店会(http://totsukajuku-es.com/) 
ナマケモノ倶楽部(HP:http://www.sloth.gr.jp)

【お問い合わせ先】 申込不要・お気軽にご参加ください

カフェ・デラ・テラ事務局(事務局:石渡): cafedelaterra@guitar.ocn.ne.jp



電気を消して、スローな夜を...* candle night 2011 winter@Zenryoji✩


2011年12月4日日曜日

カメラの充電が復活しました。ありがたいので画像が多いです

よかった~カメラの充電が復活しました。ダイエーのカメラのキムラさんありがとう。久しぶりにダイエーに行きました。

さて、今日の聞思堂です。本日は日曜日なのにカイルさんが仕事されていました。本当によく働かれます。素晴らしいと思います。棟梁はじめ大工さんもそうですが、仕事の姿勢に学ぶことがたくさんあります。ありがとうございます。法事の後、夕方に少しだけ、土運びのお手伝いをしました。ご苦労様です。

茶室の下塗りです。カイルさんの鏝さばきなかなか迫力があります。

まだ下塗りの段階ですが、聞思堂の茶室は、多目的和室としても使っていこうと思っています。
何故か、とっても落ち着く空間になっています。
たぶん設計上の秘密があるんだと思います。泊まったらゆっくり眠れると思います。
講師控室にも活用したいと思います。布教使の先生がたご期待ください。

床の間の奥も土壁です。
 カイルさんと話していたのですが、土壁の水分量は相当なものになると考えられます。その水分を飛ばすのはやはり、時間がかかりますよね。先日見学に来られたある方が、「自然乾燥のいいところは、土壁にその土地の湿度や自然の温度変化を覚えさせる」のだそうです。面白い発想だな~とおもいました。確かに、愛知県で育ったのですから、時間をかけてこの土地になじんでいただくということは、必要なのかもしれませんね。


乾いてきているのがわかりますか?
 カメラの充電ができたので、ちょっと贅沢にバシバシとりました。影の感じが変わって見えますでしょう。なぜでしょうか?




その答えは、今天井の断熱材を入れるために、簡単な足場が組まれているからなんです。
結構高いんですよ。簡単に棟梁はわたり歩いていますが、そんなひょいひょい上がれませんよ。
すごいな~といつも感心しています。

きれいな足場でしょう
さあ~あっという間に12月も第2週に入ります。みなさん、お風邪には十分注意してください。
合掌

2011年12月3日土曜日

今日も寒かったのに・・・棟梁お疲れ様です。

なんだか、変な気候ですね。棟梁はじめ大工さん方のご苦労、また、カイルさんのご苦労に感謝申し上げます。本当に寒くなったり暑くなったり、みなさんも十分体調には気を付けてください。

さて、今日の聞思堂は、冬なのに・・・・・

多目的トイレです。中は土壁なんですよ
扇風機が登場しました。土壁を乾かすためです。冬なのに大活躍です。今日からデビューです。

円形のお堂の空間がやさしいです。親方たちは屋根のお仕事です。カイルさんは、トイレと茶室の下塗り作業です。ありがとうございます。

カメラの充電が切れそうなんですが・・・私が充電器をなくしてしまって、今捜索中です。充電ができましたらもっとバシバシ取っていきます。

今日はこんな感じでご勘弁を・・・。おやすみなさい。
合掌

古今亭菊千代師匠落語会ご参加応援ありがとうございました。

本日は本当にお越しいただきありがとうございました。古今亭菊千代師匠の落語会盛況のうちに無事終えることができました。みなさんありがとうございました。


大勢のみんさんのご参加をいただきました。来年もやりますよ~
 前座を住職こと私がつとめさせていただきました。ホームのありがたさを実感しました。まったく私を知らない場所ではこうはならなかったでしょう。本当に本日ご参加してくださった方々のおかげで務めることができました。心から感謝申し上げます。

仏様のお話をする布教使として、ご縁を結ぶときは、やはり、初めて出遇う方々とご一緒ですから、それなりに緊張します。でも、御同朋御同行という世界があるので、最終的にはお念仏で紡がれていく世界があるわけです。京都のご本山で布教のご縁があっても同じです。それが布教使のありがたい世界なのです。

最近、変わったお寺ということで、他の業種の方から講演依頼があったりします。そんなときは、なんとなくアウェーな気がしますが、でも、伝えたい思い、そして、会場に来てくださったみなさんのご苦労とその願いを思うと、何か敵味方というような単純なカテゴリーではないと思います。特に、何かを聞いていただく、落語も講演も布教も共通する世界があるように思います。

あらためて、落語の文化の深さとともに、お説教から生まれている落語の経緯の深さを思いました。

私が、落語に出会ったきっかけは、前にも書いたかもしれませんが、カウンセリングなんですよ。富田富士也先生との出会いが大きいのです。http://www.kodomoforum.com/index.html

富田先生の同朋、荻野先生に歌舞伎と落語の世界の道標をつけていただきました。落語会も必ずそこにつなげていきたいと思います。私が前座をつとめさせていただいた古今亭菊千代師匠も手話落語をされています。本当に多くの方々とともに生きていこうとされるそのお姿に頭がさがります。

落語はそのライブ感で感じることも多いのですが、じっくりゆっくりセリフや情景を味わうことで、現代社会が忘れている大事なことを教えてくれます。非日常なのですが、本当に非日常という簡単なくくりでいいのだろうかとつくづく感じます。それは江戸文化に対しても同じ感覚です。ただ単に高尚な笑いではなく。そこに生きる人間模様、生活文化が今を照らす大きな力になると思うのです。

ひえ~なんかこんな感じ・・・眉ない~
今回させていただいた「元犬」という落語も、犬が人間になるというファンタジックな設定なのですが、随所に今では考えられない展開がちりばめられています。

神社の境内で真っ裸で、腰に一枚布を巻いているだけの青年に、声をかけられた旦那が、
「あ~悪い奴にでもひっかかったんだろう。かわいそうに・・・。」と戸惑いながらも世話してあげるのです。

今現在考えられませんよね。本当のセイフティーネットとは何かということを考えさせられます。
落語は江戸学と出会いそして、現代社会の様々な問題に出会うことで、大きな文化的な意味を持つと思います。

続きの考察はまた今度、本日は本当にありがとうございました。
決して落語家さんにはなれません・・・・・ご安心を

2011年12月2日金曜日

いよいよ本日古今亭菊千代師匠落語会です。★聞思堂の様子もありますよ。

おはようございます。いよいよ今晩古今亭菊千代師匠の落語会です。
あっという間に、1年がたってしまいました。昨年の落語会は、「芝浜」でした。本当にすてきな「芝浜」で、すでにその時点で、除夜の鐘が本堂に鳴り響き、「あ~今年も終わりだな~」と感慨深く思ったことを思い出します。

それほど、素晴らしい落語です。除夜の鐘が実際になっていないのに、なっている・・・。お稽古いただいても、目線その状況に自分がいることをものすごく大切にされます。本当は、前座をやらせていただくことそのものが、まだまだな私にも、ご縁をいただき、ありがたく思っております。

皆様ぜひ、今夜ご一緒にひと時を過ごしましょう。

さて、聞思堂ですが、カイルさんが茶室の土壁を塗ってくれています。ストローベイルの時もそうでしたが、左官の仕事は半分が養生とおっしゃていたように、養生の仕事をされています。

茶室の養生後の姿です。この木の部分がみんな土壁になります。
今の状況でも、かなり落ち着く部屋になっています。これが土壁になったらどうなってしまうのだろうといまから楽しみです。夢は仏前結婚式のお嫁さんの控室です。

ストローベイルのベンチの位置が決まりました。
ストローベイルのベンチは床が出来上がってからの工事になるので、もう少し先なるのではと思います。 楽しみです。

壁の仕上げ材が入ってきました。木酢につけた杉です。落ち着いた香で防虫効果もたかいそうです。
いよいよ、壁の仕上げ材が届きました。徐々にその姿を現してくれることでしょう。お楽しみに

昨夜は、辻先生が外国のゲストを連れてきてくださいました。久しぶりに英語たっぷりの会話の中にさらされましたが、ある程度わかるんですが、突然ふられると、しゃべれないんですね~。悔しい
でも、英語しゃべりたいな~といつも思う住職でした。